Insulating Material

断熱材とは?About

「断熱材」とは熱を遮断する材質のことで、超低温域の-253℃から超高温域の2000℃以上までの幅広い範囲で使用されています。断熱材にはさまざまな種類があり、使用される分野・用途も多岐にわたります。
断熱材を使用するメリットとしては、断熱によるエネルギーコストの削減、生産効率の向上、作業環境の改善、金型などの熱変形を極力小さくすることでの製品精度や物性の向上などがあります。断熱材は熱を遮断することだけでなく、さまざまな経済効果を生んでいます。

断熱材の構造Construction

断熱材は、「補強材+結合材」、「補強材+構成材」、「結合材+構成材」で構成されており、いずれも「空気の断熱性能」を利用しています。断熱材はその構造体の中に、小さな動かない空気溜まりを無数に保持することにより、断熱性能を発揮します。
一般的に空気が多い=密度が低いほど断熱性は高いということになります。

セメント

補強材ガラス繊維、アラミド繊維

結合材セメント

ガラスクロス
ガラスマット

補強材ガラスクロス、ガラスマット

結合材エポキシ・フェノール・シリコーン樹脂、けい酸・ホウ酸・リン酸塩素

けい酸カルシウム

補強材ガラス繊維、カーボン繊維

結合材けい酸カルシウム

シリカ

補強材ガラス繊維

構成材微粒シリカ

AES
アルミナ繊維

結合材シリカ

構成材アルカリアースシリケート(AES)ファイバー、アルミナファイバー

断熱材の選定ポイントSelection points

どんなところに、どの断熱材を使えばいいのか?断熱材はその使用箇所や環境・目的によって、材質の選定基準は大きく変わってきます。 そこでポイントになるのが、「1.熱伝導率」「2.耐熱温度」「3.強度・密度」「4.精度・加工性」「5.吸水率」の5つです。たとえば高温で圧力がかかる環境下での断熱と、熱の有効利用や作業環境の改善とでは、断熱材の選定ポイントは大きく異なります。1〜5のいずれかで選定するのではなく、5つのポイントを総合的に考慮した上で、選定する必要があります。

断熱材にはさまざまな種類がありますので、耐熱温度などの必要特性、使用環境、用途などの条件をいただけましたら、当社で材質のご提案、 またカタログ・サンプルなどをご提供いたします。

  1. 1熱伝導率

    断熱材の性能でもっとも大事なのは、熱を通しにくいかどうかです。それを表す指標として、熱伝導率があります。熱伝導率とは、厚さ1mの板の両面に1°Cの温度差があるときに、板の単位面積(1㎡)を通じて1秒間に流れる熱量を表す数値で、気体、液体、固体の順に大きくなります。熱伝導率の値が大きいほど熱が伝わりやすい=断熱性能が低い、値が小さいほど熱が伝わりにくい=断熱性能が高いということになります。

  2. 2耐熱温度

    断熱材は一般的に温度の上昇にともなって熱伝導率が増加するため、高負荷高温下では断熱性能や強度が低下します。また使用温度下で常時熱が加わるのか、荷重がかかる状態かなどによって条件は異なります。耐熱温度は実際の使用環境に対して、余裕をもった選定をご推奨しています。
    ・最高使用温度:短時間のみ使用できる温度
    ・常用使用温度:連続して使用することができる温度(連続使用温度)
    ・荷重たわみ温度:荷重がある状態で耐えられる温度(熱変形温度)

  3. 3強度・密度

    断熱材は使用過程において、熱や圧力の影響を受けることが多いため、使用箇所や環境、目的に応じた強度と耐久性を備えている必要があります。高負荷高温下という過酷な環境で使用される場合には、より優れた耐熱性、圧縮強度、衝撃強さなどの特性が求められます。一般的に密度の低い材質ほど熱伝導率は低くなり、断熱効果も優れていますが、強度面で問題がある場合もあり、必ずしも熱伝導率が低い材質がベストであるとはいえません。

  4. 4精度・加工性

    断熱材は種類によって、寸法精度が大きく異なります。例えば半導体、金型関連などの精密部品の製造においては、断熱材の精度が品質や歩留まりに大きく影響するため、0.01mm単位の高い寸法精度を実現できる材質を選定する必要があります。一般的に密度の高い材質ほど寸法精度は出しやすく、 密度の低い材質は精度が出しにくい特徴がありますが、形状や大きさなどによって寸法精度は異なりますので、ご希望の公差、条件がございましたら当社までお問い合わせください。

  5. 5吸水率

    水分を含んだ断熱材は、温度上昇によるクラックや著しい性能低下の要因となることがあります。特に吸水率の高い材質は注意が必要です。なぜならば、水は気化することにより、体積が約1700倍となるために断熱材を破壊することがあります。冷却目的での水の使用、昇温、加熱過程の蒸気、屋内外での結露など、使用環境をご確認ください。

熱・温度・伝導Heat・Temperature・Conduction

熱と温度

すべてのものは原子・分子によって構成されています。原子・分子は常に動いており、この運動のことを熱運動といいます。熱運動は温度を上げていくと活発になり、逆に温度を下げていくと鈍くなっていき、-273°Cに達したとき、熱運動は停止します。これを絶対零度といいます。
「熱」とは、熱運動の激しさ(運動エネルギー)のことを表していて、「温度」とは、熱運動の大きさを分かりやすく数値で表したものです。 物体の温度が高くなったり低くなったりするのは、その物体が持っている運動エネルギーが他の物体に伝わるからです。

熱の伝わり方

熱の伝わり方には「伝導」「対流」「ふく射」の3つがあります。ポイントは、熱が何によって運ばれるかになります。伝導は物質が、対流は流体が、ふく射は電磁波が熱を運びます。伝導や対流が熱の移動であるのに対し、ふく射の場合は熱を直接やり取りするのではなく、 電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換するという点に大きな違いがあります。 熱が高温側から低温側へ伝わっていくことを熱伝導といい、両者の温度が等しくなると、熱移動(伝熱)しなくなります。これを熱平衡といいます。断熱材の熱伝導は、主に伝導とふく射によって行われますが、それぞれの熱移動への影響は温度によって異なり、高温になるほどふく射の影響が強くなります。